いつもお世話になっております。インフラサポートチームの近藤です。
●はじめに
ここ最近PC関連のニュースで話題になる事が多い問題の一つにintelの13/14世代CPUの不具合問題があります。
最初に報じられ始めたのは今年の年初あたりからですが、根本的な原因が最近まではっきりしていなかった事と、
影響を受けていたのが主に高額な最新のハイエンドCPUを使用する自作PCユーザーが中心だった事から、
一般ユーザーへの影響が小さく、問題の大きさの割には一般的なニュースに流れる事はあまりありませんでした。
最近になりようやく根本的な原因と保証について発表がありました。
今のところ一般ユーザーへの影響は小さそうではありますが、当初はハイエンドCPUだけの問題と思われていたのが
原因が解析され情報が更新される毎に不具合の対象CPUが拡がってきています。
一般向けモデルのCPUも不具合の対象になる可能性がありますのでご紹介させて頂きます。
●不具合が発生すると何が起こるのか?発生条件は?
実際に不具合が発生するとどうなるのでしょうか?
実際に報告されている内容によると、主にゲームやベンチマークテスト等の負荷の高い作業をしている際に
ソフトがクラッシュして落ちてしまう現象が多発したり、PCの動作が不安定になる現象が発生する様です。
発生した際はビデオメモリのエラー等を示す場合がある様ですが、実際にはビデオメモリの問題ではなく、
CPUに不具合が発生している様です。
また、この現象はCPU購入直後は発生せず、購入後数か月から発生する事が多い様です。
主にintelの定格電力よりも高い電力を使用する設定で動作させる事で性能を向上させている環境で発生しており、
定格電力で動作させている環境での発生例は少ない様です。
ただし、一度不具合が発生したCPUでは定格電力に落としても完全には解決しないとの話もあります。
定格以上の電力で動作させている為、本来はメーカーも動作保証をしていない設定ではありますが、
ハイエンドのCPUやマザーボードではそもそも電力無制限を前提とした初期設定で出荷されている事が多く、
メーカーも電力無制限設定を前提とした性能で宣伝をしています。
その為、定格電力の設定で動作させるという事は実質的な性能低下となってしまう為、ユーザーの反発も大きい様です。
また、今回の不具合は13/14世代のintelCPUに限った不具合となります。
12世代以前のintelCPUや、他社のCPU(AMD RYZEN等)では発生しません。
世代についてはCPUの型番の頭の数字が世代番号となります。
例
i9-13900 → 13世代
i7-9700 → 9世代
●対策
主に問題の発生しているCPUが自作PCユーザー中心のハイエンドという事もあり、対策も基本的には自作PCパーツでの話となります。
メーカー製PCやBTOの場合は各メーカーや販売店のサポートに問い合わせをする必要があります。
現時点での対策については、各マザーボードメーカーより対策設定が追加されたファームウェアが提供されています。
ファームアップを行う事により電力制限の設定のところに”intel default settings”という様な設定が追加されます。
この設定にする事により電力がintelの定格電力に制限されるため、不具合を防ぐ事が出来ます。
ただし、この設定にするという事は性能の上限も制限されてしまう事であるため、注意が必要です。
●不具合の原因
この問題について、しばらくの間根本原因がはっきりせずとりあえず電力設定を落とせば安定するという情報しかありませんでした。
しかし、最近になってintelより原因の発表がありました。
原因としてはCPUを制御しているマイクロコードに欠陥があり、誤った電力要求をしてしまう為にCPUが破壊されてしまうとの事でした。
CPUを制御しているマイクロコードはマザーボード上にファームウェアとして記録されている為、
8月中に改めてマザーボードのファームウェアという形で提供される様です。
●intelの対応
今回の問題に対し、intelは対象CPUの保証期間を2年間延長すると発表しました。
既に問題の発生してしまった対象CPUは購入先販売店等で交換対応を受けられます。
対象CPUは現時点での発表では下記の通りとなります。
Kと付くのが電力制限設定も含めたオーバークロック対応のCPUです。
ハイエンドCPUについては元々消費電力が大きいため、オーバークロック非対応のCPUも対象の様です。
オーバークロック対応CPUはハイエンドだけでなくi5でも対象となっています。
メーカー製PCやBTOの場合は各メーカーや販売店のサポートを受ける形となりますが、
CPUだけの延長保証とするのか、PC全体を延長保証とするのか
現時点ではメーカーにより対応方針が違っている様です。
また、上記以外のCPUでも不具合が出たという話もあり、今後対象CPUが増える可能性もあります。
●おわりに
今回ご紹介させて頂いたintelCPUの不具合については基本的には自作PCやハイエンドのBTOPCの話となります。
一般的な業務用PCでは問題が発生する可能性は低く、当社のお客様でも問題が発生したというお話は聞きません。
ただし、現時点では頻繁に情報が更新されており、今後どうなるのかはっきりとしません。
一般的なPCも不具合の対象に含まれていく可能性も無いとは言えませんので注視していく必要があるかも知れません。
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