※2021年12月9日現在の情報です。
2021年12月6日の日経新聞より、電子帳簿保存法、電子取引の電子データ保存(義務化)に2年間の猶予期間が設けられることが報道されました。
これにより2022年1月施行の電子帳簿保存法に2年間の準備期間ができる見込みです。
今回は、電子帳簿保存法の概要と義務化の部分を主に解説していきます。
■ そもそも電子帳簿保存法とは?
原則紙での保存が義務付けられている帳簿書類について、
- 一定の要件を満たせば電子データ保存を可能にする
- 電子的に受け渡しした取引情報の保存義務
を定めた法律です。
〈2022年1月改正内容〉
従来より変わったポイントは大きく2つです
- 電子帳簿保存の要件緩和
- 電子取引の電子データ保存の義務化
今回は、「電子取引の電子データ保存の義務化」について詳しく解説していきます。
■ 電子取引の電子データ保存
まず、電子取引とは何を指すのでしょうか。
電子取引とは、例えば取引先からPDFで見積書をもらったり、インターネットショッピングなどWEB上で領収書が発行される場合などをいいます。
従来はこれらのデータをプリントし紙での保存が可能でしたが、2022年1月から国税庁の保存要件に則り電子保存をすることが義務化されます。
国税庁が定める保存要件は以下の通りです。
①改ざん防止措置をとる
タイムスタンプ等のシステム導入
改ざん防止のための事務処理規定を定める など
②「日付・金額・取引先」で検索できるようにする
専用のソフトウェア導入
規則的なファイル名を設定 など
③ディスプレイ・プリンタ等を備え付ける
いずれにせよ保存要件を満たすために費用や工数がかかるようになっており、電子保存をしなかった企業に罰則として、2021年夏ごろに青色申告を取り消す可能性を示唆していましたが、一転して青色申告の取り消しをしないと発表しています。
そして12月6日には日経新聞から2年間の猶予期間が設けられると報道されました。猶予について、近くまとめる22年度与党税制改正大綱に盛り込み、年内に関連の省令を改正するとのことです。
ただ報道によると、2年間の猶予に対して「企業の申し出に応じて税務署長が判断する」となっていることから届出書や提出期限、出さなかった場合の罰則があるなどの可能性が考えられます。
■ まとめ
今回は電子帳簿保存について、電子取引の電子データ保存(義務化)の部分に焦点をあて解説しました。
保存要件を満たすために、システム導入か手作業が必要となり中小企業の負担増加の声が多数上がったことで、2年間の猶予期間が設けられる見込みとなりました。
正式発表はまだですが、申し出が必要な可能性なども示唆されているため、引き続きすべての事業者は注意していく内容となっています。