Copilot+PCとは?新たなAIPCのご紹介と注意点

いつもお世話になっております。インフラサポートチームの近藤です。

●はじめに

5月にマイクロソフトよりCopilot+PCという新しいAIPCブランドが発表され、6月から各メーカーより販売が開始しました。
今回はこのCopilot+PCの紹介と利用する際の注意点をご紹介させて頂きます。

●Copilot+PCとは

https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/copilot-plus-pcs?r=1

上記はマイクロソフトのCopilot+PCの紹介ページとなります。

Copilotというのはマイクロソフトの展開しているAIの事であり、従来のWindows11でもEdge等で一部利用可能になっています。
Copilot+PCというのは特にAI処理性能に優れたPCであり、様々なAI機能を利用可能なPCとなります。

新しいAIPCブランドとは言ってもOSそのものは基本的には従来通りのWindows11です。
大きな違いは高性能なNPU(Neural network Processing Unit)というAI処理に特化したプロセッサを搭載しているという事です。
NPUは基本的にはCPUに内蔵されて搭載されます。

通常AI処理を行う場合はクラウドで行うか、高性能なグラフィックボードを搭載したデスクトップPCで行う事が一般的ですが、
Copilot+PCではAI処理に特化したNPUがある為、高性能なグラフィックボードが無くてもローカルでAI処理が可能です。
クラウドでのAI処理は処理に時間がかかったり一定以上の利用に料金がかかる場合がありましたが、ローカルでの処理になるので高速で無料のまま処理が可能になります。

●Copilot+PCの要件

Copilot+PCには下記の性能を持つ事が要件となっています

・40TOPS(秒間40兆回)以上の推論処理性能を持ったNPUの搭載
・16GB以上のDDR5/LPDDR5メモリ
・256GB以上のSSD/UFSストレージ

この中で特に一番上の40TOPS以上の処理性能を持ったNPUという要件が非常に厳しいものとなっています。
NPU搭載のCPU自体はIntelやAMDからも既に登場していますが、上記の性能を持っているのは、現状QualcommのSnapdragonX Elite/Plusのみとなっています。
その為、現在発売されているCopilot+PCは全てSnapdragonX Elite/PlusのCPUを搭載したPCとなっています。

●Copilot+PCのCPUがSnapdragonである事の注意点

Copilot+PCのSnapdragonというCPUについて聞き覚えが無いか、スマホやタブレットで聞いた事があるという方も多いのではないでしょうか。
一般的にPCに搭載されるCPUはIntelのCoreシリーズであったり、AMDのRYZENシリーズといったものになります。
IntelのCoreシリーズやAMDのRYZENシリーズはx86/64アーキテクチャという設計で動作しているCPUですが、SnapdragonはARMアーキテクチャで動作しています。
ARM系のCPUは省電力性に優れている為、スマホやタブレットで一般的に利用されています。
また、Snapdragon以外にもARM系のCPUは多数あり有名なところだとAppleのMシリーズのCPUもARM系CPUとなります。

ただし、ARM系CPUは基本的にはx86/64系CPUとは互換性がありません。
従来のWindowsはx86/64系CPUで動作している為、大半のWindowsソフトはそのままではARM系CPUでは動作しません。
その為マイクロソフトはCopilot+PCで従来のWindowsと互換性を持たせる為にPrismというエミュレータを開発し、x86/64で動作するソフトをARMで動作する形に変換させて動かしています。
このエミュレータはかなり優秀な様で、大半のソフトは違和感無く正常動作する様です。
ただし、インストール時に要件チェックを行っている一部ソフト等では動作しないCPUと判定されてしまいインストール自体も出来ない等といった事もある様です。
業務に使いたい場合には業務で利用するソフトが正常動作するか事前確認した方が良いでしょう。

IntelやAMDのCPUにもNPUを搭載した物はあり、既にCopilot+PCの要件を満たすモデルも発売される予定となっています。
その為、今後はx86/64系CPUのCopilot+PCも出てくると思われます。
興味があるが互換性が気になる方は少し待つのも良いかも知れません。

●Copilot+PCで何が出来るのか

Copilot+PCではNPUでのAI処理に対応した様々なソフトでAI機能を利用する事が出来ます。
まだ登場したばかりの為、まだ対応ソフトは少ないですが、今後対応ソフトが増えていく事が予想されます。
簡単にですがCopilot+PCに標準で利用可能となっている機能の一部を紹介させて頂きます。

・リコール

過去にPC上で表示した画面を曖昧な情報からでも検索し見直す事が出来る機能です。
PCの画面を常にスクリーンショットを撮り続けAIで画面の情報を解析してタグ付けしており、後から曖昧な情報でも検索が可能にしています。
例えば過去に見た製品紹介ページをもう一度見直したいが製品名を思い出せない、見ていた製品の色ぐらいは覚えているといった場合に、色や製品の形等といった情報だけで検索する事が可能になります。
便利な機能ではありますが、常にスクリーンショットを撮り解析されるといった事に抵抗のある方も多い為、標準では無効になっています。
利用する場合は設定から有効化する必要があります。
また、撮ったスクリーンショットは暗号化されて保存されており、検索する場合もユーザー認証が必須となる為、基本的には他人に勝手に見られてしまう心配はありません。

・コクリエイター/イメージクリエイター

AI機能としてよく話題になる画像生成機能となります。
コクリエイターは簡単なラフスケッチをするだけでAIが綺麗な完成した画像を生成する機能となります。
画風や元のスケッチからどこまで遠ざけても良いか等を設定する事も出来ます。
イメージクリエイターは文章(プロンプト)から画像生成を行う機能となります。
こちらは従来の画像生成AIに近い機能ですが、ローカルで処理を行う為、生成速度が速くどれだけ利用しても無料な事が特徴です。

・ライブキャプション

音声をリアルタイムで自動翻訳する機能となります。
Youtube等でも動画音声の自動翻訳をする機能がありますが、こちらはOSに組み込まれた機能の為利用できるソフトが限定されないのが特徴となります。

・Windowsスタジオエフェクト

Webカメラの映像に背景ぼかし機能や目線補正等の映像処理を行う機能となります。
ZOOMやTeamsに標準で付いている映像処理機能と似ていますが、こちらもOSに組み込まれた機能の為利用できるソフトが限定されないのが特徴となります。

●おわりに

AI機能が各社力を入れている部分であり、AppleやGoogleもAI機能を開発しています。
AI機能を有効に活用するためにNPUは今後一般的になっていく事が予想されます。
現時点では注意点も多く価格も高いCopilot+PCですが、将来的には手軽に手を出せる製品になっていくと思います。
来年のWindows10サービス終了を前にPCの入れ替えを検討されている方も多いと思いますが、Copilot+PCの事も気にかけておくと良いかも知れません。

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