長期的に発生しているWindows10の更新プログラム(KB5034441)の不具合について

いつもお世話になっております。インフラサポートチームの近藤です。

●はじめに

Windows10の1月のアップデートで報告された不具合に下記の更新プログラムがエラー(0x800070643)で失敗ししてしまうというものがあります。

2024-01 x64 ベースシステム用Windows10 Version 22H2 のセキュリティ更新プログラム(KB5034441)

このエラーは発生から3か月以上経っていますが未だに解決していません。
全てのWindows10で発生する訳ではありませんが、当社でも実際に発生しているPCを確認しており、少なくない台数で発生している様です。
今回はこのエラーについてご説明させて頂きます。

●KB5034441の更新プログラムの内容

まずKB5034441の更新プログラムは具体的にどんな更新をしているのかをご説明します。

WindowsにはOSに問題が発生した場合に不具合の修復を行うためのWindows回復環境(WinRE)というものが存在します。
PCにトラブル発生時に下記の様な画面になった事はないでしょうか。

こちらがWindows回復環境(WinRE)です。
この回復環境はシステムドライブの中の回復パーティションという部分に保存されています。
これはコンピュータの管理の中のディスクの管理から確認する事が出来ます。
一部環境ではWindows回復環境(WinRE)が無い場合もあります。

KB5034441の更新プログラムはこのWindows回復環境(WinRE)の脆弱性を修正するためのプログラムです。
具体的にはBitLockerという機能で暗号化されたディスクにWindows回復環境(WinRE)を利用する事でアクセス出来てしまう可能性のある脆弱性を修正しています。

●更新時の動作と原因

WindowsUpdateを実行し実際にKB5034441を適用しようとするとどうなるのでしょうか。

実際に実行すると下記の様にインストール中という表示にはなりますが、0%のまま進まない状態となる場合があります。

そのまましばらく待っていると下記の様に0x800070643エラーとなり失敗します。

再試行を行っても同じ状態となります。
問題なくインストールが完了する場合もありますので、そもそもKB5034441の更新が始まらない場合は既に更新済みの可能性があります。

こうなってしまう原因は既に明確となっています。
上記のディスクの管理に表示されていた回復パーティションの空き容量が不足しているのが原因です。
しかし、この回復パーティションの容量は通常のドライブの中身と違い簡単に増やす事も中身を削除する事も出来ません。

●KB5034441の更新に失敗してしまった場合は

KB5034441の更新に失敗してしまう場合はどうすればよいのでしょうか。
マイクロソフトからは回復パーティションを増やす方法が案内されています。

しかし、上記ページは技術者向けの案内となっており、手順もコマンドを多用する等一般ユーザー向けではありません。
手順に失敗した場合回復パーティションの破損や最悪OSが起動出来なくなる恐れもあります。

修正されている脆弱性はセキュリティに関する問題ですが、実際に影響を受ける環境はBitLockerによる暗号化を利用しており、悪意のあるユーザーにPCを直接触られてしまうという限られた状況です。
身も蓋もない案内にはなってしまいますが、無理に上記対策を実行するよりはマイクロソフトによる簡単な手順での修正が入るまで放置して頂く事をおすすめします。
どうしても気になる場合はバックアップを取った上で最悪OS再インストールも考慮して実行して頂く様お願いします。

●おわりに

今回ご紹介させて頂きました不具合はかなり長期的なものとなっています。
来年にはWindows10自体のサポートも終わってしまうという事もありマイクロソフトも放置気味なのではと疑ってしまうところもあります。
影響は少ない不具合ではありますが、定期的にWindowsUpdateを実行し様子を見て頂くと良いかも知れません。

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